みなさま、こんにちは。
今日は、多田かおる先生の“作品に流れるやさしい世界”について、スタッフの視点からお話ししたいと思います。

多田先生の漫画には悪人は登場しない?
多田先生の漫画を読んでいると、思わず心がぽっと温かくなる瞬間があります。
その理由のひとつに、「悪人が登場しない」という、多田作品ならではの特徴があるのをご存じでしょうか?
そのヒントになりそうなものを、先日、資料整理の際に見つけました。
私の手元にある、多田先生が残された1冊のスクラップブックです。

黒のマジックで『愛してナイト』のロゴと剛さんのイラストが描かれたこのスクラップブックには、
アニメ化の際に掲載された新聞・雑誌の記事の切り抜きが大切に貼られていました。
その中の一つ、先生がインタビューを受けられた記事に、こんな言葉が記されています。
「……悪人を描いているとイライラしてくるんです。
でも描かなきゃ続かないから描くけど、最後は“やっぱりいい人でした”というところを見せたくなるんです。……」
この一言に、多田先生のお人柄がそのまま表れているように思います。
では、実際の作品ではどうでしょうか?
代表作『イタズラなKiss』を例に少し振り返ってみましょう。
多田作品に登場する“ちょっと困った人たち”は、実は…?
琴子の恋の行方をかき乱す存在は何人も登場します。
松本姉、婚約者の沙穂子さん、そして時には吉田のおばあちゃんまで……。
ところが彼女たちは、いわゆる「悪役」ではありません。
松本姉は大学で入江くんのそばにいる存在でしたが、姑息な邪魔をすることはなく、
最終的には琴子を認め、潔く身を引いていきました。

入江くんと婚約した沙穂子さんも、立場に甘えることなく、
二人の恋をまっすぐ見つめたうえで歩み寄ってくれました。

吉田のおばあちゃんのイタズラは少し過激ですが(笑)、
心の奥では二人を応援している、あたたかい存在でした。

そして金ちゃん。
琴子を想い続けた彼も、入江くんから引き離そうとはせず、
ただまっすぐに自分の気持ちを伝え続けるだけ。
恋が実らなくても人を恨まず、思いやりの心を失わない人物として描かれています。

こうして振り返ると、多田先生の描くキャラクターたちは、みんなどこか愛おしく、憎めない人ばかり。
その背景には、先生が“人の中にある良いところ”を信じていらしたからこその世界観があるのだと思います。
多田先生の世界観、伝わりましたか?
悪人がいなくても物語は面白く、むしろ心の奥にじんわり残る──。
それが多田かおる先生の作品が、今もなお多くの読者に愛され続ける理由のひとつなのかもしれません。
さて、ここまで読んでいただいて、実際に多田先生の作品をもう一度開いてみたくなりませんか?
登場人物たちに「悪人」は本当にいないのか――ご自分の目で確かめてみてください。
代表作はこちらからご覧いただけます。ぜひ物語を読み返して、多田先生のやさしい世界をお楽しみください。
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